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8月号       人件費のこれからのとらえ方と成果・業績評価        

大阪商工会議所 専門指導員 牧村 康彦

日本の人事制度において成果主義の内容が導入されて久しくなりますが、これからの人件費をどのように企業はとらえ運用するかが、ますます重要課題になってきています。

社員のモチベーションを高めながら、より成果をどのようにとらえ、また賃金をどのように設計するかは

企業にとって重要な経営資源である人材を育成すの為の課題であるとともに、企業発展の為に避けられない今後の会社検討課題となっています。

今後の人件費のとらえ方は、(a) 総額人件費(昇給は月例給与+賞与+退職金)・(b) 成果主義

(c) 退職金制度の変更といった3つの側面からスタートし、評価は特に加点式の能力・成果評価を導入・修正することであると考えます。まずは3つの側面をまとめますと以下の内容になります。

(a) 総額人件費(昇給は月例給与+賞与+退職金+法定福利費)

従来の人件費は、年功賃金の4重苦が問題となってきていることから、総額人件費をとらえて今後の

 昇給は考えなければならない。

 月例給与の昇給制度(年功賃金・職能給)の4重苦とは、@月例給与の昇給がいずれも年功的であった

A賞与が基本給×月数で計算された。(基本給与上昇分×月数)B退職金も退職時賃金×勤務年数に応じた乗率×自己都合・会社都合乗率C法定福利費負担額 (健康保険+厚生年金保険+労災保険+雇用保険)がこれに連動して上昇することを意味します。(例えば5000円の定期昇給をすることで17万の生涯賃金が上昇するなどの企業が実際に診断した企業にありました。5000円をベースに12月で60000円の賃金の上昇に、賞与の4月分である20000円を加算し、勤続25年で15倍の退職金(75000円)、社会保険負担が1.25ポイントで15000円合計17万)

当然に今後の賃金を考えるうえでの、諸規定の分析・見直しが必要であり、また昇給の考え方も、月例給与+賞与額+退職金額を考慮してさらに、@給与の昇給の年功的制度の廃止A賞与は業績型・成果型での支給(基本給与上昇分×月数からの分離)B退職金も基本給から分離C法定福利費負担額 (健康保険+厚生年金保険+労災保険+雇用保険)を調整した上の決定がポイントになってきます。

また、評価制度は「やらせる制度からやる制度へ」(社員参加型加点主義制度)の修正が必要になります。

賃金の上昇のあり方を決め、賃金設計をするとともに、ノルマ主義ではない成果主義の導入を実施しないと単なる賃金リストラに社員はとらえ、モチベーションが下がる恐れもあります。ここで、社員の成果とは何かを会社が真剣に取り組むとともに、社員がその成果の意見を述べ、会社の経営側が思う成果との調整をはかり、加点式評価を実施することがポイントになってきます。

 職能等級資格制度などを導入している会社は、基準からの減点方式の評価がされることがしばしばありますが、基準より、「目安」を設計する方法を考えたうえで、成果とは何かを企業で考え、(成果は現場の意見と経営陣の認定方式)単純MBOから加点式MBO(成果は成果、目標になかった成果も加点で評価CBO)を導入することが評価制度に必要になってきます。「ノルマ主義人事制度」(仮称)では「目標」

というノルマが課せられ、管理する「目標管理」制度で、数字がすべての人事評価かつ、やらせることがすべてであった問題点、我慢大会的要素の失敗を反省し、「考える・考えさすの成果主義導入」に修正する

ことで本来の成果主義と貢献賃金の分配がなされるのです。やる気を維持しながら賃金改革を実施する為

に企業が、成果は加点主義で評価し、「熱意×能力×考え方」を意識した自ら考える社員の育成、基準にない部分の加点評価、最終は経営の考え方との調整でもって成果主義を導入することが必要です。

ステップ1 成果主義導入編

       A (社員の考える成果調査の実施)

          何を成果として、プロセスとして評価してもらいたいか

          会議方式、ブレスト、アンケート方式の採用

B (等級制度の移行)

等級制度は結果、基準を設け納得しているだけと考える

   そこで評価の目安を作成する。

        C (経営側の認識との調整)

認定方式(経営の認める成果結果)に基づく加点評価

 ここで私が最近指導の中で行っているブロードバンディングの人事制度の手順を紹介します。

参考   ブロードバンディング方式(人事考課(評価制度)の今後)

(評価の基準を目安にして、会社が最も評価できることを社員と経営で話し合い、最終それを認定する)

1.社長と部下との面接→社長も納得

社員の個々の数値・業務内容(簡単な職歴表)を用意した上で宿題をあらかじめ出しておく。

 「事前宿題」(この1年で何をあなたは計画し、どのように行動し、何を残したか)

     計画→ 改善や改革をしようと企画し計画した事実

     行動→ 計画したことをどのように実行したか

  残した→数値、目標の達成度、達成した状況

2.集めた情報・優秀な社員の行動からのガイドラインを設定→

評価がドンブリにならないためにも「評価の指針(ガイドライン)」を設計する

※ガイドラインは優秀な社員の行動様式を採用具体的にどのような行動をすれば成果があがるか

3.加点式の評価の採用→評価は社員にわかりやすく

1から得られたガイドラインにそって 

0(現状のまま)、+1(少しは改善された)、+2(期待どおりであった)、 +3(期待以上)の加点方式)

4.ガイドライン以外の評価→基準以外の評価がその納得性を高める

1のガイドラインは基準ではないので,記載されていない行動や成果があった場合は、それを高い評価の理由として社長が認定

 加点式評価制度の内容の留意点

@情意評価は導入しない方がよい。A具体的な行動と成果を評価。B人は誉められれば育つことからミスの追及や相殺はしない。C事務・管理はどう動機づけるかの視点にたった方法の選択(表彰方法)        

  Dディスクロージャー制度(評価の理由を開示)E評価理由を記入表し、なぜをはっきりさせる。

 

 

ブロードバンディングに伴う給与制度

累積時価方式

賃金の要素を累積賃金と時価賃金の2つに分けて考える

@      累積賃金

役職別などのグループ別に上限額を設定し定期昇給の専用部分としてそのインセンティブをはかる。

制度の特徴

ある一定の等級は必要ですが、そのグループわけでも認定方式評価の導入で0の得点の場合は昇給せず、また各等級でストップ高により昇給しないことでできる社員は評価されできない社員は賃金はあがらないといった制度。

A      時価賃金

従業員の担当している職務の価値や能力の高さを「現在価値」に対応して支給する。

 今やっている仕事自体に現在価値をつける

例えば

役職手当的  経営レベル  評価差  7段階  5万〜30万

職位手当    役職レベル  評価差  5段階 3万〜20万

職務手当    以外      評価差  3段階  1万〜15万

B      特別昇給制度

伸び盛りの社員に必要に応じて社長の裁量で特別昇給を行う

C 等級範囲給

資格等級制度のような号俸(ピッチ)等級表を作成せずに昇給表のみ作成する

範囲昇給表で累積賃金の昇給を実施する。

例えば          J        S        M

+3

10,000

12,000

15,000

+2

 6,000

 8,000

10,000

+1

 4,000

 4,000

 4,000

 2,000

     0

     0

  

  人事制度は、今後社員の思う成果の考えを導入し、その評価を会社経営側が認定し、その理由をあきらかにしながら、人件費がむやみに増加しないように範囲給を設計し、上昇0の場合もありうる制度に

 かえるといったものがこの制度内容です。

 一方的なノルマにならないように人事評価を設計し、さらに加点でよりよい部分を延ばす反面、0といった評価を導入し、より明確に差を設けることが今後の成果主義の第1歩と考えます。

  社員の意見を取り入れた「成果主義の導入」をテーマに認定方式の人事制度を導入されてはいかでしょうか。

 確定拠出型導入に関して

牧村 章子・黒木 啓太

  今回は確定拠出型年金制度を導入する場合の留意点として、「法第3条と年金制度改革」の内容を

 ご説明させていただきます。

 ようやく法案もとおり、この制度実施に向けた企業の動きが出てきているようですが、やはりどのよう

 な点に留意しながらこの制度を導入すべきであるかについて企業からご質問をいただくことが多くなってまいりました。まず、企業がこの制度を検討し導入するにあたっては第3条を理解したうえで導入

 準備に移ることが必要であると考えられます。

 第3条は、「当該企業年金を実施しようとする事業主は、労使合意をもって規約を締結し、厚生大臣の承認を受けなければならない」とされ、この合意がない限り導入できないことになっています。

  事業主にこの点についてご説明する際に私どもがお話することは、強引ともいえる制度導入をはかった場合に、社員のモラールの低下、モチベーションの低下がおこる可能性があるといった点です。

法に言う、同意は「理解と納得」の上に存在し、決して企業のメリットのみを考えたものではなく、これからのリタイアメントプランを個々に考慮した上で導入をはかるべきであり、帰属意識ややる気を損なうような導入は避けなければならないとご説明しています。ただでさえ「成果主義」「自己責任」の時代といわれ、社員の帰属意識が薄れつつある中で、社員の意思を無視した導入を実施すれば、別にこの会社でなくてもよいのでは?という意識がめばえ、組織崩壊につながる可能性を秘めているのです。

 このために、事前に社員意識調査や懇談会などを実施し、社員意識を改革したうえでの導入が望ましいと提案しています。

 法案どおり導入することは決して難しくはないのですが、社員のやる気を失うことが内容に配慮した上で企業は導入準備に入るべきであると考えます。

さらに、導入後においての留意点については、「投資教育」にあげられます。日本では投資に関しての

考え方、教育といったものは、欧米と比較しても幼稚なものであることは否めない事実です。

最近投資の雑誌が書店にならび、投資に興味がでてきているといっても、自分がいざ投資するとなった場合には、やはり余裕のある資金部分を投資にあてるのがわが国の特徴です。

しかし、確定拠出年金はそもそも今後の老後設計の為の必要資金ですので、余裕を持つ為に投資すると言った従来の考えにはない、投機的投資をしなければなりません。

 はたして、この投資の意味を理解して制度運用ができるのか?これを考えなければならないと説明します。投資は運用機関に委託するからいいですよね。といわれる企業様が多く、大きな勘違いをしている

 と考えます。運用の失敗に関しては言うまでもなく、基金や適格退職年金で体験された企業が多いにも

 かかわらず、こと個人の責任に移るから問題が生じないと考えられているようですが、単に運用機関ま

 かせでは、金融機関の思う商品の売り込みに負け、とんでもないことになることが懸念されます。

  専門家は専門用語でお話をしますので、より社員がわかり易いように企業としてどのよう取り組むの

 かがスムーズにこの制度をスタートさせるポイントになってきます。

  以上を気をつけながら導入をはかることが必要です。

この導入の仕方を説明しますと以下のとおりになります。

手順) 1 経営判断

       企業における確定拠出型年金制度のメリット・デメリット

       退職金の準備金の試算

    2  制度コンサルティング

       導入する制度の内容の特定・受託機関の選定・年金規約の案の検討

    3  従業員に対しての説明

       合理的制度の内容

       自己責任の認識の確認徹底

       シュミレーションの実施「プラン」個別設計が望ましい

       投資教育の方法の概要についての検討とその社員の能力の判断

    4  労使合意

       労働協約・各社員の同意書(印鑑)

       ※運用管理機関・資産管理機関の選定はここでも遅くはない。

    5  年金規約の策定→厚生労働大臣の承認

    6  投資教育実施

    7  制度スタート

       金融機関窓口決定(6条運営管理機関に委託する)

       初回の運用の確認をしておく必要がある。

      確定給付型の適格退職年金制度加入企業

A・完全廃止(移行時における各人の分配が行われ、当初資産

として確定拠出型年金がスタートし、毎月の個別勘定が設定)

但し、個人ごとに移管可能限度額の設定がある予定

B・将来分のみの移行型

C・新入社員のみの移行型

D・混合型

   参考に、最近登場している保険会社の養老保険で確定拠出型のものをあげておきます。

プルデンシャルの確定拠出型年金

1.5%の利回りを 最低として保障している確定拠出型の養老保険

社員の退職時において、中退金等とは異なり、会社にその支給が行われる

仕組みが特徴 詳細は、神戸支社 副部長 鎌谷 078―333―6850

   これからいろいろな商品が登場すると考えられますが、商品、金融機関のすすめるもので保障のある商品を多くもつ運用機関を選びスタートするのが最後のポイントです。

    事務も煩雑になりますので、協力的な金融機関をお選びください。



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