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11月号          確定拠出型年金制度導入に関して

  大阪商工会議所 専門指導員 社会保険労務士 牧村 康彦

 今回は、この10月から法施行された確定拠出型年金制度の実施方法とそのメリット・

 デメリットについて、記載させていただきます。

  まずは、企業の導入背景としては以下の内容が考えられています。

(1)導入背景 〜年金財政・会計基準・税制の変更及び労働環境の変化〜

(イ)       運用環境悪化による積立不足の発生

確定給付年金の掛金計算上の予定利率と、実際利回りの差額における企業負担の増加(運用リスクの問題)

この問題点で、確定拠出型年金を導入することが解決の方法の1つとなります。

⇒【確定拠出年金では企業負担が確定し、後発債務が発生しない。】

(ロ)       退職給付に係る新会計基準の導入 

B/S上の影響

従来の退職金・年金制度は退職給付債務の対象となり、企業のバランスシート上では認識

P/L上の影響

退職給付費用が現金支給とは無関係に決まることから、企業収益を圧迫する要因となっている。

この問題点でも退職給付債務は退職給付債務の対象外ですから確定拠出型を導入することで解決が図れます。

(ハ)退職給与引当金の税制メリットの減少

退職給与引当金の非課税枠が段階的に減少されることが予定されています。

⇒【確定拠出型年金では拠出時 掛金は非課税となっていることから税制面でもメリットがある。】

(ニ)     雇用の流動化の進展

 長期勤続優遇的な退職金制度の設計では、転職するなどの状況では不利な構造となる。

⇒【確定拠出年金では勤続年数の有利不利の差は少なくなる】

(ホ)     自己責任の時代への対応

 従業員が自ら将来生活設計にあわせてリタイアメントプランを設計する時代の到来⇒【確定拠出年金は新たな選択肢となる】

(ヘ)     年金制度の今後の動向

 年金制度が65歳支給になるに伴い、今後の老後設計のみなおしが必要となってきている。

⇒【公的年金制度の補完的役割】 

               

以上の内容が導入背景ですが、そのメリット・デメリットは以下の内容であるといわれています。

(2)全体的なメリット・デメリット

(イ)      企業のメリット

確定拠出年金は、確定給付型(適格退職年金制度・厚生年金基金)と

比較すると、運用リスクによる企業追加負担が発生せず、また退職給付

債務の対象とならないと言うメリットをもつ。

また、税制面では、拠出時全額損金(企業型)、または所得控除(個人

型)があるなどのメリットはある。(特別法人税は今後実施されます)

(ロ)      企業のデメリット

従業員教育という新たなコストが発生する。

(イ)        従業員のメリット 

自己の資産の残高の把握が容易であるとともに、ポータビリティーがあり、また個人の裁量で運用ができる。

 個人の税制面も、給付時退職所得控除、年金の控除などがありこの

分もメリットと考えられる。

(ロ)        従業員のデメリット 

確定給付型が給付額が決まりその運用リスクを負わないという点があるのに対して、将来給付が確定しないといった点があげられる。

 また、一定の年齢になるまでは受給できない点がデメリットとして

考えられる(必ずしもデメリットとはいえないが)

では、その導入方法はどのようになっているのでしょうか?

(3)導入の流れと課題

ステップ1

 現行退職金及び企業年金制度(厚生年金基金・適格退職年金制度を意味する)のどの部分を確定拠出年金制度に移行するか? 

 (ポイント) 

将来期間のみの移行とするか過去期間を含んでの移行とするか 

              ↓

新入社員からの導入とするか又は全員について導入するか? 

過去期間を含む選択の場合は、導入移行までの過去期間相当部分の全部か一部か

 ステップ2

 確定拠出型年金制度の加入者の範囲は?

 (ポイント)

    全員加入又は一部の者に限定する又は社員の意思による選択制

 ステップ3

 掛金選定(算定)並びに掛金水準をいくらにするのか(総額の設計)

 (ポイント)

適格退職年金などに加入している場合は、移行に伴う現行の加入制度の試算

ステップ4

 規定つくり(同時に労働者、組合に説明)

 (ポイント)

  規約の作成(運営管理・資産管理会社まかせになりがち)の問題

ステップ5

  労使合意

 (ポイント)

  はたして労使合意に持ち込めるか?

ステップ6

  厚生労働大臣の認可

最後に移換の方法とメリット・デメリットをあげます。  

   全面的移行

  現在の適格年金を完全に廃止してしまい、確定拠出年金に全面的に移行

  ⇒ 個人ごとの移換可能限度額の問題

    (メリット)

1.      全社的に一つの制度に統合される。

2.      退職給付債務の計算対象から完全に除外

3.      すべてが移管される事から、その後は利差損の悩みがなくなる。

    (デメリット)

     1.移行時点での適格年金に積立不足があれば、そのままの移行は困難

     2.移行時に各自に分配される資産額の算出方法の決定が困難

     3.移行時に分配される資産額が大きければ移換可能限度額を超える可能性

   将来のみの移行

  現在の適格年金はストックし、その後の積立予定のものを確定拠出年金に移行

   ⇒ 資産移換を行う必要はない。

      移行時点における個人ごとの資産額の算定作業は持分確定の為必要

  (メリット)

1.          積立不足のある適格年金でも採用が容易

2.          将来分の退職給付からは解放される

    (デメリット)

 1.退職給付債務の計算対象から完全に除外されず、過去の利差損の悩み残る。

2.個人ごとの移換可能限度額の計算が必要

  新入社員のみの移行

  現在の従業員は適格年金とし、その後の入社のものを確定拠出年金に移行

   ⇒ 資産移換を行う必要はない。

      移行時点における個人ごとの資産額の算定作業は持分確定の為必要

  (メリット)

1.          現在の社員には影響がないことから労使合意は得やすい

2.          投資教育も新入社員教育などの際に行えることから効率的に実施できる

    (デメリット)

 1.現在の社員分の退職給付債務の計算対象から除外されず、過去の利差損の悩み残る。

2.個人ごとの移換可能限度額の計算が必要

3.1つの企業に適格年金と確定拠出年金の2つの制度が並立

いずれは、現存する従業員への確定給付が完全に終了するが、それまでに社内の

体制が並立し、1本化までにさらに時間がかかる。

 

今回は確定拠出の少し具体的な内容のみを記載させていただきました。

今後も希望があれば導入事例の紹介などを行っていきます。

 

なお確定拠出型年金セミナーのご依頼、DCプランナーの資格取得は下記の学校まで

財団法人 企業経営通信学院 06−6345−0774

岡阪、山口

 



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