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12月号          職能給と職務給の違いを教えてください。

           大阪商工会議所 牧村 康彦

 今後の給与制度の見直しの為に、商工会議所にたづねられてきた、大阪は阿倍野区の

企業の事例を今回はご紹介します。

1.職能資格等級制度と職務資格制度の明確化

            職能等級資格制度と職務資格制度

方向性 管理 職能等級資格制度 方向性 商品部営業 職務等級資格制度
相違点 社員の1人1人の保有能力を
相違点  企業からみた職務評価を

ベ−スとする制度
 ベ−スとする制度
保有能力がベ−スとなることから成果(貢献)を実践できない場合でも評価される 職務価値と担当者個々人の業務成果が評価される
保有能力が高まれば昇格できるまた、原則として降格はない 職務に応じたポストが設定されその基準が達成できないと昇格しない
人事考課による昇給制度定期昇給する 定期昇給はなし。作業を前提とすることから、同一職務同一賃金であるとし、技能のレベルにかかわらず同一賃金。
高技能者が易しい仕事をしていても高い賃金である。年功的要素は強い 高技能者が易しい仕事をしていると低い賃金である。
職務の異動で賃金が上下する

2.職能資格等級制度と職務資格制度の手順
手順 職能資格等級制度
手順 職務資格制度
@現状
 分析
プロット図による提案 第1回 @現状
分析
プロット図による提案 第1回
A仮想 職能給提案 第2回 A仮想 職務給提案 第2回
 提案 職能フレ−ム提案
 提案 職務フレ−ム提案

役職確認

役職確認
B仮想 職能給提案 第3回 B仮想 職務給提案 第3回
 提案 職能フレ−ム提案
 提案 職務フレ−ム提案

賃金規定提案

賃金規定提案
C職務 職能要件書提案 第4回 C職務 職能(職務)要件書 第4回
 調査 職務分析
 分析 提案

職務分析
職務評価
D職務 職能要件書提案 第5回 D職務
職能要件書提案 第5回
 調査 職務分析  分析
職務分析

修正

修正

給与体系修正案提示  中間報告会
給与体系修正案提示
E職務 職務基準書の作成 第6回 E職務 職務価値を決める 第6回
基準書
未定  評価
未定

 

 このように、職能(能力)基準にして制度を作成していくのが、職能給で、各職務を

職務分析より得られた結果より職務評価項目の選定をウエイト設定作業を実施するのが

職務給です。

 職能給と職務給の違いは、特に給与体系において、職能給は年功的要素を含む制度で

あるのに対して、職務給は、年俸制のような制度であり、年功的要素より、つく職務の

内容、評価により、給与が決定される点にあります。

 この企業は、特に優秀な人材には、どんどん伸びてもらって、その分の分配を高くして

いき、無能な者は去ってもよいという経営層の考えがあり、結果、ある程度習熟度を必要

とする管理は職能給、営業・商品部は職務給を導入することを決定し、前期スケジュ−ル

をたて進めています。

 優秀な人材育成の為にはどの制度が正しいのかは、会社の経営方針の位置づけと思い切

った人事改革であると考えます。

今後この企業は、教育も強化し、教育スケジュ−ルのもと、底上げを実施し、活性化をす

すめる予定になっています。

 皆様も今一度、企業活性化の為に人事制度の見直しと教育改革を検討してみてはいかが

でしょうか。

 このスケジュ−ルをご参考にして頂ければ幸いです。

 

 人事制度・教育制度の改革のご質問は

  06−4792−1348     牧村まで

 


               今年の春闘について

                 牧村 章子

 いよいよ、鉄鋼、自動車、金属、電気の業界の春闘の回答がでそろいはじめています。

今年の特徴は、経営側が労働組合に対して賃金等の労働条件を提示するといったもので、

従来の要求から、春闘開始ではなく、経営側の提示から春闘開始になった企業が多かった

点です。

 今年に入り、下記のような質問を22件受けました。ご参考にあげますと、

「労働組合に対して、今年の春闘は経営側から賃金の額を提示したいが違法性又はおこり

 うるトラブルはあるか。」と言うものです。

この回答は、

 1.法的問題点

  当該行為が「不当労働行為」にあたるかどうかの点と手続条項が問題となる。

 〔労働組合法第14条〕

  労働協約の内容として、第3項に給与および退職金に関する事項を記載しており、そ

  の効力は、規範的効力とされ、契約の違反の問題が生じる場合が規程されている。

   ここで上記の経営側からの賃金提示は問題となることはない。

 〔労働組合法第14条〕

  労働協約の内容として、一般に団体交渉手続条項が記載される場合がある。

  団体交渉の申し入れ手続き、交渉委員の資格・数、交渉のやり方、交渉で扱う事項

  等が記載されており、この点において、経営から賃金提示を行うことが手続き内容

  に違反する可能性がある。

   また、経営協議会なるものを御社は設置し、団体交渉のスムーズな進め方の為の

  協議会を設置している為、その設置の中での手続き条項も「組合からのみ」提示する

  とされている場合は問題となる可能性がある。

  ※御社の各協約、協議会の進め方に関してこの記載はなく、結果違反は想定できない

   と考え合法であると判断いたします。

  さらなる可能性としては、慣行(今までの推移)から判断してどうかという点である

  が、元々この点においても一時的に経営から交渉を申し出ることを否とするものでは

  ないことからこの点においても問題はない。

 

 〔不当労働行為の問題〕

  不当労働行為は、団体交渉の拒否等をあげ、この場合も経営側からそもそも交渉を

  申し出ることは、あたまから団体交渉を妨げるものではないことから、「提案」と

  しての経営からの交渉は問題とならない。

  但し、地方労働委員会はこの点においては、労働組合が過去の慣行ならびに経営の

  提案を団体交渉拒否ととらえ、「団体交渉をさせない」という理由から申し出るこ

  とは考えられ、この場合「不当労働行為」として地方労働委員会が申し出を受けた

  た場合は審議することもありえるとの解答をいただきました。

   中央労働事務所からは上記の様な場合で、不当労働行為となるかどうかについて

  は今まで交渉の拒否をしないかぎりにおいて不当とされたものはないとの回答。

   以上のことから、労働組合への賃金交渉の提示は「提案」であって、決定では

  なく、また通常の交渉を行う限りにおいて労働組合法には違反しないこととなる。

   一方、労働基準法の観点からは、何らその規程は設けられず、唯一可能性として

  あるのは、賃金のベースダウンの提示であると監督官より返答をいただいている。

  賃金のベースダウンは、合理的理由をもってその判断を下すことからその点について

  は法的な問題が生じる可能性があるので留意されたい。

 

  今後企業側からの提示が多くなるようですが、交渉を拒否するものでなければ問題

  はありません。

   なお、今年の賃上げは、5900円が中小企業の平均でした。

  当社の方は、2年前から全業種、規模別の賃上げのデ−タを入手する統計を導入し

  動向を調査していますが、今年は昨年と比較し零細でも昇給させる企業が多くみられ

  るようになってきまました。

   景気は良くはなっていませんが、企業努力をもって昇給にこぎつけた企業が多いの

  ではないでしょうか。

 

                               企業労務総合研究所

                               代表  牧村 章子

 



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