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              年俸制の導入をはかりたいのですがその留意点は?

                  大阪商工会議所 専門指導員 牧村 康彦

   今回は、九州福岡の建設業が年俸を導入したいとのことでその留意点についてのご質問があ

   り、コンサルティング事例として解説します。

 

 T.年俸制導入の留意点について

   1.年俸制導入の為の評価基準の明確化

      何をどのようにすれば、どのうような評価になるのかといった評価基準を明確にしなければならない。

     【成果】とはなにを意味するのかについては、目標管理制度を導入する企業が多いのですがその目安となる評価項目の絞りこみや、評価の仕方が複雑な企業が多く、結果評価内容があいまいになっているのが多くみられます。

      絞りこんで項目を10個位にして、評価にあたいする「成果」を検討することがまずはポイント。

    (一般例)何を評価の基準におくか? またどのように評価するのか?

 

 

 S評価

 予算達成・業務改善・経費削減・顧客満足・・・

 全部優秀

 

 A評価

 予算達成・業務改善・経費削減・顧客満足

 4つ達成

 B評価

 予算達成・業務改善・経費削減のうち3つ

 3つ達成

 C評価

 予算達成・業務改善・経費削減のうち2つ

 2つ達成

 D評価

 予算達成・業務改善・経費削減のうち1つ

 1つ達成

 E評価

 全く達成できていない

 

 

 

 

 2.評価した場合のその支給額の決定方法は?

    上記評価が決定した場合において、どの程度年俸を上昇させてもよいのかが課題となる。例えば、一律○○円、等級に応じて幅を設ける案・その都度の決定をしてく案等がある。

    範囲を設定し、等級などを設けている企業では、等級に応じた範囲内の昇給または降給を実施している企業もあります。

     例)

       S (全員 10000円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

       A (全員  8000円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

       B (全員  5000円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

       C (全員     0円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

       D (全員 ―2000円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

       E (全員 −3000円)・(等級に応じて 〜 円)・(幅で〜円)

   3.減額のある年俸制を採用するか、又は当分減額をしない年俸制の採用にするか?

     年俸額を下げるとするとした場合には、より明確な基準と納得性が必要であると考えられている。

     下げる場合の基準を明確にするか、また下げる場合はどのように下げるのか?

    上記の例でいくとEは下がらないが上昇しないとしていたが、例えばEを2回

    連続評価されれば、下がるとか、またEをとったら、下がるとかの下げる基準も

    必要です。

 

 

 どんな場合が減額の対象になるかは特に明確にすること

 

 

   4.管理・監督者以外の者の年俸額についての留意点

    管理職の者については、残業部分の支払いは不要であるが、管理職以外の者の場合については、年俸制であっても,時間外・休日・深夜の割増賃金が必要である。

    この部分については、別途残業部分を加算して年俸を設定する企業が多い。

    例)営業年俸額  (見なし残業部分の年俸)○○ 円 とする。

 

 

   5.諸手当の統合

    通勤手当を除く手当を年俸に統合するのが一般的になってきています。

 

   6.就業規則としての届出の必要性

    賃金規定の変更として、就業規則を提出することが必要となってきます。

    変更届となりますが、その分規則を作成する必要があります。

 

   7.社会保険料の変更

    賃金の変更があった場合で、2等級以上の変更が出た場合には社会保険料

    の変更が必要となります。同時に給与計算の変更も必要です。

                       

   8.不利益変更の問題点

    現行の給与を変更するにあたり不利益変更の問題が生じてきます。

   正しい評価なく、ただ賃金の減額を伴い経費を圧縮するには問題点が多く存在し、訴訟にな

   ればそのこの点が明確でなければ既得権保護の立場から不利益変更とされ、最終もとにもど

   すなどの必要がでる場合があります。

   

   以上の点に留意して採用をご検討ください。

 

事例集コンピテンシー評価制度の目的

    

       職務にあった給与を支給するために、範囲職務給与制度を実施する。

    また、職務の成果ではなく、【成果のあがる職務の遂行】を実施するために

    コンピテンシー評価制度を導入する。

 

1.                     範囲年俸(職務給与)制度とは

職務に応じた給与を「職務」を機軸とした給与制度であって、職務の等級及びレベルに

より、給与制度のレンジ(幅)を設定した給与制度である。

職務の等級は、その職務に応じた等級となり、その職務が担当できる段階でなければ

当該職務給与の上昇は範囲内の昇給のみになる。

レベルは、各職務の段階においてその者の成果達成度、職務経験、知識を勘案して、

各レベルを設定する。同じ等級内であってもその者がもつレベルに応じて、給与の分配

が実施できる。

2.                     コンピテンシー評価制度とは

職能等級資格制度における「仕事ができる」といった職務を遂行するための能力を評価

したとしても、企業業績があがらなければその評価は結果企業の負担を増加することに

なる。

コンピテンシーは、「仕事ができる」ことはもとより、「仕事を極め」かつ「高い業績」

をあげるためにはどのような、「具体的な行動が必要か」を評価項目に求めた制度であり、単に仕事ができるのみではその評価は低く、高い評価・賃金とはならない制度である。

メリット)@ 職務において、給与差が明確に設定できる。

A      職務等級の中にレベルごとの設定があり、その範囲でもってコンピテンシー評価制度に応じて評価された、仕事・役割のみならず、「高い業績をあげるために仕事を極めたその評価」を反映して各レベルを設定する(今回提案は7段階)もので、職務ができる(職務遂行能力)から職務を

極めるといった評価でそのレベルを設定することで、より高い業績をあげたものに、高い給与が支給される設定ができる。

   デメリット)@ 経験年数に応じた賃金が支給されない。(成果に応じた給与制度である)

A      業績が上がらない限り、給与は上昇する幅が限定される。

B      評価項目をより明確にし、社員の納得性の高いものにするために時間が

かかり、正確な評価が要求される。

  

 

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実施計画

 1.コンピテンシー評価実施のための計画

   第1段階 仕事の分析(各社員の職務内容を分析する)

        現状で行っている仕事内容がどのような仕事であるかの認識をするとと

        もに、今の仕事レベルをチェックする。 10月末継続中

   第2段階 高い業績をあげるための仕事を抽出する(ブレーンストミング会議法)

        仕事内容とともに、どのような仕事が高い業績につながるかを考え、よ

        り具体的に社員の意見を反映して、その業績につなげる仕事を絞り込む

   第3段階 等級及びその等級に応じたレベル設定(幹部とのミーティング)

        職務内容に応じて等級を設計し、またその等級に応じたレベルを設計。

   第4段階 その給与幅(レンジ)の設計

        給与の上昇・下降幅の設定

   第5段階 昇給ルール・降給ルールの設計

   第6段階 評価制度の設計

   第7段階 評価シュミレーションの実施

   第8段階 各社員合同説明

   第9段階 給与制度貼り付け

        貼り付け段階で、その給与と仕事の達成度、業績に応じた給与との調整

        が発生する。

   第10段階 給与制度施行

        職務等級・レベルを上げ下げする。

2.2年目の給与

   より業績幅を上下させ、成果をだした者については、多くの給与を支給

  成果がおもわしくない場合は、給与を下げることもあり得る。

  また、職務内容とその等級・レベルが合致しない場合は下方修正する場合がある。

 

 

 

 

                                   2

 評価表作成事例

(1)評価表

   査定表は、表紙、目標設定、全社共通基礎項目、部門別個人別評価項目、数値項目

から成る。

@      表紙       各部署においてその部署名を記載する

A      目標設定     目標設定部分はその半期における目標を面談前に鉛筆等で記載し、

           面接時において上司確認のもと、目標を設定する。

B 全社共通項目   グループ及び社会人として基本的な項目を挙げる

C 部門別個人別項目 従業員の勤務する部署において又個人の業務において分析した

           上でその設定を行う。

           なお、この部分において異議がある場合は、面接前に開示され

           た段階でその異議を唱え、その内容を修正する場合がある。

D 数値項目     予算又は昨年実績に基づきその数値の達成度を記載する。

           なお、表として記載したためにその中間数値については記載され

           ないことから、下記の計算式をもって記載する。

           各等級に求められた数値(予算又は実績)×達成度=(   )

(2)評価方法

評価は、査定表において求められた合計得点を下記の5段階(場合によっては6段階)の評価とする。

なお、合計得点は300点とする。

S評価 250点以上 300点

A評価 200点以上 250点未満

B評価 150点以上 200点未満

C評価 100点以上 150点未満

D評価 50点以上  100点未満

E評価 50点未満

                                      

(3)各項目と数値項目と等級の関係  

   数値評価部分は資格等級7等級の中でその割合を「責任」に応じて高めるものとする。

   下記の表に定める

   (項目評価割合)

 

数値

150

150

150

150

100

100

50

以外

150

150

150

150

200

200

250

 

範囲年俸給制度導入計画事例

   範囲年俸の実施は、人事制度の根幹をなす賃金制度の変更にあたるため、その内容を

  計画的に実施するものとする。

  計画は、下記の内容にて遂行する。

 

    

     第1期 平成14年4月1日〜平成15年3月31日

 

  月額支給給与額を現行のまま移行し、職務給与制度を適用(調整額あり)

     第2期 平成15年4月1日〜平成16年3月31日

 職務等級とレベルのコンピテンシー評価を実施の上、変更する(調整廃止)

     第3期 平成16年4月1日〜平成17年3月31日

 範囲職務の修正の実施(移行必要に応じて変更を加える)

   

 

 

 

 イ.範囲年俸給与制度の枠組み

 

 

 

    意 味

 区分

   評 価

 

 職務年俸

 コンピテンシー評価給与 

 2〜7等級

 仕事と業績

 役割年俸

 役割(職位)に応じて

 各職位

 役割

 業績年俸

 突出した業績の場合

 粗利率

 売上・利益重視

   ロ.職務に応じた評価割合⇒評価項目の割合(数値の責任と業務評価の割合)

    人事制度説明書参考

 

 

 

 

 

 



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