自社株対策の基本
 オーナー企業を防衛するためには、事業承継対策がいかに重要かは前号で述べた通りです。オーナー一族の財産の保全の問題だけではなく、企業の存続に関わる問題であることがご理解いただけたと思います。
 
 自社株式の相続対策の基本は、株式の移転対策と納税資金づくりです。まず、後継者を決定し、その後縦者の下で機能する組織を作ることが重要ですが、そのスピードに合わせて自社株式を早期に移転していくことが有効です。自社株式の移転方法は、贈与または譲渡になります。自社株の移転が終わらないうちに相続が発生した場合には、相続による移転となります。その際の税負担として、贈与には贈与税、譲渡には譲渡所得税、相続には相続税が課税されます。それぞれ、税率や課税価額が異なるため、どのような計画で移転するかによって、同じ株式を同じ株数移転しても税負担が変わってきます。一番、税負担が低くなる移転方法を採るのがベストプランとなります。 株式の場合には、土地等の不動産と違って、毎年少しずつ移転することが容易です。例えば、十株ずつ三人の子どもに贈与し続ければ、十年で三百株の移転ができることになります。ただし、移転対策を行う際に、後継者を決定しないですべての子どもに均等に移転することは、後々のトラブルを招くことになりかねないので、必ず後継者を決定し、その者が支配権を確保できるように移転させることも検討すべきでしょう。
 
 自社株式の評価額は、法人の業績が良く利益や配当の実績が良い場合、士地・株式などの含み益や過去の利益の蓄積が多い場合には高額となります。自社株式の評価額が高額な場合、贈与や譲渡による生前移転を行う際の税額も上昇します。
 
 従って、そのような場合、自社株の評価額を低く抑える対策を検討する必要があります。しかし、自社株の評価額を引き下げる対策を講じたために、例えば"利益を引き下げる"とか、"配当を下げる"とか、"好業績部門を子会社へ移転する"とかの対策を実行すると、既存株主や金融機関などからの資金調達が困難になったり、株主から経営責任の追及をされるケースもあるため、注意が必要です。
 
 また、評価額を引き下げることができたとしてもそれが永続的に出来るのか、一時的なものなのかによって、移転計画が変わってきます。もし、一時的に引き下げるのであれば、後継者が事業を承継するタイミング(例えば社長に就任する時)に合わせて大きく移転する方法をとることが有効です。
 
 今回は、オーナー経営者の相続に備える具体的な自社株対策を検討してみましょう



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